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この記事は、JIS ハンドブック2023 : 鉄鋼I, 鉄鋼II を参考に作成しました
SS材と快削鋼SUMの JIS規格上の違い
SS材 (SS400等)は 「構造用」の中の — JIS G 3101 一般圧造用圧延鋼材 — という規格になります。
その一方で、快削鋼(SUM24L等)は 「構造用」の中の — JIS G 3123 みがき棒鋼 — という規格の中にあります。 ( JIS G 4804 硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材 )
以下に分類のツリーを示します。 規格の詳細はこのページの後半に記載しています。
構造用
├ JIS G 3101 一般圧造用圧延鋼材(SS400等)
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└ JIS G 3123 みがき棒鋼
├ みがき棒鋼用一般鋼材(SGD3 等)
├ 機械構造用炭素鋼鋼材
└ 硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材(SUM24L等)
※ JIS規格上の快削ステンレス鋼については、こちらのページで紹介しています。 (上記の規格とは別になっています)
規格の詳細 (一般圧造用圧延鋼材 と みがき棒鋼)
一般圧造用圧延鋼材のJIS規格
一般圧造用圧延鋼材の規格の適用範囲と、特長はこちらです。
機械的性質は定められていますが、成分規格がほぼ無いに等しい点が、みがき棒鋼の規格と異なる点です。
また、製造方法も熱間圧延となっています。
適用範囲:
この規格は,橋梁,船舶,車両その他の構造物に用いる一般構造用の熱間圧延鋼材(以下,鋼材という。)及び熱間押出形鋼について規定する。
形状:
3.1 棒鋼・・・棒状に熱間圧延した鋼(断面の形状により、丸鋼、角鋼、六角鋼がある)
3.2 丸鋼・・・3.1棒鋼のうち断面が円形のもの
3.3 角鋼・・・ ~略~
3.4 六角鋼・・・ ~略~
機械的性質:
- SS400の場合:
引張強さ: 400 - 510
降伏点 : 245以上(16mm以下) (他、サイズにより違いあり)
曲げ角度: 180℃
伸び : 材料厚さ毎に、試験片形状と伸びに規定あり。
成分規格:
リンと硫黄の上限値しか規定されていない。
また、「表に無い元素も添加してよい」 と記載されていることから、成分は自由とも言える。
みがき棒鋼のJIS規格
みがき棒鋼の規格の適用範囲と、特長はこちらです。
製造方法は、冷間加工や、研削、切削となっている点がSS材と異なります。
また、機械的性質は各規格内に記載がされています。 例を挙げると 、硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材のJIS鋼(SUM22、SUM24L等) では 強度が定められておらず、SS材とは異なる点です。
尚、硫黄複合快削鋼鋼材でも 強度規格が定められている材料ASK-2***シリーズ(ASK-2600, ASK-2600R)などの材料もあります。
適用範囲:
機械構造及び各種部品に用いる断面形状が丸・六角・角・平の炭素鋼及び合金鋼のみがき棒鋼(以下,みがき棒鋼という。)について規定されています。
みがき棒鋼の種類及び記号は,使用する材料,加工方法,熱処理方法及び寸法の許容差によって組み合わせ,以下のとおりとなっています。
みがき棒鋼の分類
1.炭素鋼みがき棒鋼
JIS G 3108 みがき棒鋼用一般鋼材
JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材
JIS G 4804 硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材
2.合金鋼みがき棒鋼
JIS G 4052 焼入性を保証した構造用鋼鋼材(H鋼)
JIS G 4053 機械構造用合金鋼鋼材
JIS G 4202 アルミニウムクロムモリブデン鋼鋼材
みがき棒鋼の加工方法
冷間引抜、研削、切削
・熱処理方法
焼ならし
焼入焼戻し
焼きなまし
球状か焼きなまし
・寸法の許容差
表により定められている
機械的性質
--- JIS G 3123 みがき棒鋼 --- の中では、機械的性質は規定されておらず、分類先の鋼材種類ごとに、規定されている。
まとめ(SS材 と SUM材の 違い・特徴)
SS材は鋼材の基礎として強度を重視した材料であり、曲げ性や機械的性質は規定されていますが、含有成分は規定されていません*。その一方で、JISの快削鋼は 加工性の向上を目的に開発された材料であり切削性の持たせるために成分が規定されていますが、SS材とは反対に引張強さなどの機械的性質が定められていない点が特徴です。
尚、秋山精鋼が製造する硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材(ASK-2600やASK-2600R 等)には引張強さの規格が定めてられており、加工性と強度面の双方で高い品質が保たれています。 こちらのページで秋山精鋼の硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材(快削鋼)を紹介しています。
*一部の元素(リンと硫黄)のみ規定あり

