材料比較 「炭素鋼 S45C」と「高硬度ステンレス ASK-8000」
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材料変更で比較される 2鋼種 — S45C ・ ASK-8000 –を、各視点から比較紹介します。

炭素鋼 「S45C」とは

 JIS規格において構造用炭素鋼に分類されており、強度・入手性・コスト のバランスが良いことから多くの機械部品に使われている鉄鋼材料です。

強度:

 硬度確保のために、焼入れ・焼戻しが必要。

熱処理:

 熱処理後の強度が HRC 50 と高く、機械部品のシャフト、ピン、ボルトなど幅広く使用されている。

加工性:

 切削性は、快削鋼よりも劣る。
 鍛造性は良好。

耐食性:

 耐食性は低く、錆対策として「メッキ・表面処理」を施すことが多い。

価格:

 入手しやすい価格。

用途例
  • シャフト、軸
  • ピン
  • 自動車や産業機械の部品

高硬度ステンレス 「ASK-8000」とは

 高硬度・高耐食を有するオーステナイト系ステンレス鋼で、自動車部品、機械部品(ピン、シャフトなど)幅広く使用されている材料です。

強度:

 設計によっては、HRC40も可能な高強度。

熱処理

 硬度を上昇させるための熱処理が不要。
 変形・ソリ・曲がりのトラブルを回避できる。

加工性:

 削りやすく、工具費の節約や生産時間の短縮ができる (硫黄快削ステンレス鋼 相当)。
ただし、穴あけ/ドリル は、速度を低めにする必要がある。 
切削加工後の面粗度が良好。 一定の範囲で鍛造も可能。

耐食性:

 耐食性が高くメッキ省略が可能なケースが多数。工程短縮が可能。

価格:

 合金元素を含むステンレス鋼で、S45Cよりも高額。

用途例:
  • 四輪・二輪
  • OA機器
  • 医療機器
  • モーター
  • ヒンジ
  • シャフト  など
S45CASK-8000
強度△(熱処理後=○)
熱処理必要不要
加工性切削:○、鍛造:○切削:○+ 、鍛造:△
耐食性×: 錆やすい○:錆びにくい
価格○:炭素鋼レベル△ :Ni系ステンレス レベル

        表.  特徴一覧(S45C ・ ASK-8000)

S45CとASK-8000の比較

切削性、仕上粗さ、コスト の 3項目を比較しました。

加工条件
  • 機械    : 主軸移動型 旋盤
  • 工具(外削) : 三菱マテリアル VP15TF/   コーナ半径 0.2
  • 工程    : 外削、ねじ切り、突切
  • 材料 径   : φ6
  • 材料 引張強さ:
    • S45C   = 880 MPa  (生材/ 熱処理前)
    • ASK-8000 = 1,550 MPa(生材)
  • 加工形状  : 写真の通り
写真.  加工形状

切粉

切粉_S45C
S45C 外削の切粉:△
 (ワークに絡まりやすい形状)
ASK-8000 外削の切粉:○
 (絡まりにくい形状・排出方向を制御できる)

ユーザーの声 🍀

 「炭素鋼とステンレス鋼の比較なので、ASK-8000の方が切削条件を緩やかにする必要があると見込んでいました。 実際には想像していたよりも切削性がよく、また切粉も絡まりづらいので、とても加工しやすかったです。 S45Cと似た感触で加工することができました。」

以下の項目に関し、S45CとASK-8000 の価格を比較しました。

  • 材料費
  • メッキ費
  • 加工費
  • 熱処理費
  • メッキ費

工程

 S45C     :  切削 → 熱処理 → メッキ →  (完成)
 ASK-8000:  切削 → (完成)

表.  価格シミュレーションの結果

S45CASK-8000
加工数 [個]100,000100,000
材料費  [円/個]3.910.8
加工費 [円/個]33.329.1
熱処理費 [円/個]5不要
メッキ費 [円/個]10不要
部品代 [円/個]52.239.9

※ 各々、費用を仮設定し試算

まとめ

  • ASK-8000 への置き換えにより、加工トラブルの減少コストダウン を同時に実現可能なケースあり。
  • 外削速度・面粗度において、S45C よりASK-8000の方が総合的に優位。
  • ステンレスなので材料価格は上昇するが、熱処理やメッキ省略で、トータルコストダウン効果が見込める。

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