
「快削ステンレス鋼」の JIS規格
「SUS303などの快削ステンレス鋼にJIS規格はあるの?」という疑問をお持ちの方へ。
本記事では、JIS規格におけるステンレス鋼の分類と、快削ステンレス鋼の分類位置について詳しく解説します。
「ステンレス鋼」のJIS規格
JIS規格上の「ステンレス鋼」は 、 特殊用途鋼 の中の「ステンレス鋼・耐熱鋼・超合金」のグループに該当し、さらに ‘ 形状 ‘ や ‘ 仕上方法 ‘ の違いにより以下のように分類されています。
特殊用途鋼 「ステンレス鋼・耐熱鋼・超合金」
|
├ JIS G 4303 ステンレス鋼棒 (熱間加工仕上げ / 棒)
├ JIS G 4308 ステンレス鋼線材 (熱間圧延のまま / 線材 ) (溶接材料用を除く)
└ JIS G 4318 冷間仕上ステンレス鋼棒 (冷間加工仕上げしたステンレス鋼棒)*1
└ 他
*1 冷間圧延、冷間引抜、研削、切削、またはこれらの組み合わせに製造し、
必要に応じて熱処理、酸洗/又はショット加工を行ったもの
快削ステンレス鋼のJIS規格上の位置づけ
JIS規格において「快削ステンレス鋼」という名称で定められた独立の規格は存在しません。 ‘形状’や’ 仕上方法’ で分かれた 各規格の中で、被削性を高めた材料として快削ステンレス鋼は位置づけられています。
例えば JIS G 4303 (ステンレス鋼棒)や JIS G 4318 (冷間仕上ステンレス鋼棒)などの分類において 、SUS303 や SUS420F といった被削性の高い快削ステンレス鋼が含まれます。
このため、「快削ステンレス鋼」の規格を調べる場合は、まず対象となる材料の製造方法 及び 仕上状態(熱間仕上、冷間仕上など)を確認し、それに該当するJIS番号を特定する必要があります。
この記事は、 JISハンドブック2023 鉄鋼II を参考に作成しました。
・快削鋼「硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材」(SUM24L等)については、上記とは異なるJIS規格番号になっています。
・ 快削鋼とSS材との違いについては、こちらのページで詳しく解説しています。