
サージカルステンレスとは? 医療用ステンレス鋼の種類と選び方
サージカルステンレスとは
医療現場で使われているステンレス鋼の特徴
医療現場では、使用前に滅菌や消毒の洗浄が必要なことから、それらの処理によってサビが発生しないよう耐食性の高いSUS316やSUS304といったオーステナイト系ステンレス鋼が使用されることが一般的です。
一方で、耐食性は劣るものの SUS420やSUS440などのマルテンサイト系ステンレス鋼も、サージカルステンレスとして医療器具に用いられるケースがあります。
マルテンサイト系ステンレス鋼が使われる理由
滅菌や消毒などの洗浄工程の後にサビが発生しやすいため、本来であれば耐食性に優れたSUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼を使用したいところです。
しかし、SUS304やSUS316は硬度が低く、特に先端が鋭利な鉗子やドライバーなどの手術器械では、変形や折損のリスクがあるため使用が難しい場合があります。
このような理由から、代替材として用いられているのが、SUS420やSUS440などのマルテンサイト系ステンレス鋼です。これらは熱処理によって高硬度化が可能で、負荷のかかる手術器械工具に適した特性を持っています。

マルテンサイト系ステンレス鋼の欠点
手術器械工具に適したマルテンサイト系ステンレス鋼ですが、オーステナイト系ステンレス鋼と比べてサビやすいという大きなデメリットがあります。
そのため、高圧蒸気による滅菌や薬液による消毒を繰り返す医療現場では、使用後にサビが発生する問題が報告されることがあります。
このような課題に対応するため、高硬度かつ高耐食性を兼ね備えた医療グレードステンレス鋼「ASK-3900」が使用されるケースが増えています。
医療グレードステンレス ASK-3900 の特徴
- 高硬度(HRC58)
- 高耐食(SUS420J2比で大幅UP・SUS630相当)
- 医療グレード(生物学的安全性試験クリア)
- 医療器械用途で実績あり
このように、ASK-3900 は鉗子や工具などの手術器具に求められる硬度・耐食性をバランスよく満たす材質であることから多くの医療器械工具に採用されています。
医療以外で使われているステンレス鋼(食品・自動車)

食品衛生法 対応ステンレス鋼|
ASK-3000T

高硬度ステンレス鋼 |ASK-8000