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食品・飲料機器部品では、耐食性や衛生対応からSUS304が選ばれることが多い一方、切削加工ではバリ、切粉処理、工具寿命などが課題になることがあります。 食品や飲料に接触する部品で、衛生対応を確認しながら加工上の課題も改善したい場合、どのような材料が候補になるのでしょうか。
本記事では、食品衛生法に関する適合確認済みの高耐食・快削ステンレス鋼 ASK-3000Tについて、材料選定のポイントを整理します。
- 食品・飲料機器部品で求められる材料条件
- 食品衛生法とは?
- 器具・容器包装に関する規格基準
- 金属材料で確認したいポイント
- SUS304で起こりやすい加工上の課題
- ASK-3000Tとは
- 食品衛生法に関する適合試験とテルル溶出試験について
- ASK-3000Tを検討しやすいケースと部品例
- 加工性比較
- 設計時に確認したいポイント
- まとめ
食品・飲料機器部品では「耐食性」と「衛生対応」が重要
食品機械、飲料機器、水まわり部品などでは、材料選定時に「錆びにくいこと」だけでなく、食品衛生法への対応が求められる場合があります。
たとえば、以下のような部品では、材料の選定に注意が必要です。
- 食品や飲料に接触するノズル
- 水や洗浄液に触れる部品
- コーヒーサーバー、ドリンクサーバー関連部品
- バルブ、コネクター、流体制御部品
- 鉛を含む材料の避けたい部品




このような用途では、耐食性や入手性の面から一般的なステンレス鋼が選ばれることが多くあります。
代表的な材料の一つが SUS304です。
食品衛生法とは? 材料選定で確認したいポイント
食品衛生法は、食品の安全性を確保するための法律で、食品そのものだけでなく、それらに触れる器具や容器包装についても規格や基準が定められています。 食品機械や飲料機器に使われる金属部品は、食品や飲料に直接触れる場合があるため、材料選定では、耐食性や加工性だけでなく「食品に接触する部品として使用できるか」を確認することが重要です。
食品に触れる器具・容器包装については、「食品、添加物等の規格基準」第3「器具及び容器包装」のA「器具若しくは容器包装又はこれらの原材料一般の規格」 において、器具や容器包装、またはそれらの原材料に関する一般規格が定められています。また、金属材料については、食品に接触する部分に使用する材料において、鉛やアンチモンなどに関する規定があります。
つまり、食品・飲料機器部品の材料を選ぶ場合は、次のような観点で確認する必要があります。
- 食品や飲料に接触する部品か
- 使用する材料が、食品に接触する部品として問題ないか
- 鉛など、避けたい成分を含んでいないか
- 使用環境で腐食しにくいか
- 洗浄液や水分にさらされる条件か
- 必要に応じて、試験成績書や適合確認資料を提出できるか

なお、最終製品としての適合性は、部品形状・使用環境・食品との接触条件・表面処理・洗浄条件などによって異なります。図面指定や採用時には、用途に応じた確認が必要になります。
※参考 : 消費者庁「食品、添加物等の規格基準」第3「器具及び容器包装」
SUS304は身近な材料だが、切削加工では課題が出ることも
このような背景から、代表的なステンレス鋼であるSUS304は、食品機械、水まわり部品、流体制御部品などで広く使用されいます。
一方で、切削加工の現場では扱いにくい材料になることがあります。
代表的な課題として、以下があります。
- 切削抵抗が高い
- 加工硬化しやすい
- 切粉がつながりやすい
- バリが出やすい
- 穴あけ加工でトラブルが出やすい
- 加工が安定しにくい
- 工具寿命が短くなりやすい

部品設計上はSUS304で問題がなくても、量産加工では「加工時間が長い」「工具交換が多い」「品質が安定しにくい」といった問題につながる場合があります。
このようなときは、加工条件の見直しだけでなく、材料側から加工性を改善できないかを検討することも有効です。
ASK-3000Tとは
ASK-3000Tは、快削性を付与する目的で成分設計されたステンレス鋼で、快削成分であるテルル(Te)が添加されています。
それにより、SUS304レベルの耐食性を持ちながら SUS304よりも切削加工しやすい「快削ステンレス鋼」の材料特性になっています。
主な特長は以下です。
- SUS304レベルの耐食性
- SUS303寄りの被削性
- 食品衛生法・食品、添加物等の規格基準に関する適合確認済み
- 鉛フリー
- 外径・真円度・円筒度など、材料精度の安定性に配慮

SUS304の耐食性が必要で、加工性に課題がある場合に、ASK-3000Tは代替候補になります。
実際に、切削抵抗の比較では、ASK-3000TはSUS304よりもSUS303に近い結果が得られており、SUS304の加工性に課題がある場合の代替候補になります。また、強度面については、サイズや仕上条件により異なりますが、用途に応じて SUS304との比較検討も可能です。(冷間引抜仕上)
食品衛生法に関する適合試験と、テルル(Te) 溶出試験
快削成分であるテルル(Te)は、食品衛生法の金属材料一般規格において鉛やアンチモンのように個別の含有上限が明記されている元素ではありませが、食品や飲料に接触する部品では、これに関して確認を求められる場合があります。 ASK-3000Tは、食品衛生法に基づく「食品、添加物等の規格基準」に関する適合確認試験だけでなく、テルル(Te)に関する溶出確認試験も実施された材料です。
ASK-3000Tを検討しやすいケース
- SUS304指定だが加工コストを下げたい
- 食品衛生法に対応した材料を使いたい
- 鉛を含む快削材料を避けたい
- 水や食品に触れる部品で耐食性を確保したい
- SUS303では耐食性や用途面で不安がある
- SUS304では切粉やバリが問題になる

※ 食品・飲料機器関連の切削部品では、耐食性・衛生対応・加工性のバランスが重要で、ASK-3000Tは、これらを両立したい場合の選択肢になります。
ASK-3000Tの使用部品例
- コーヒーサーバー用ノズル
- ドリンクサーバー用ノズル
- 食品機械部品
- 水栓部品
- 流体制御バルブ
- コネクター部品
- 計測機器部品
- シャフト
- ヒンジ
- 水や洗浄液に触れる小物切削部品

※ 特に、SUS304を使うと加工に時間がかかる部品では、ASK-3000Tへの材料変更により加工時間や工具寿命、切粉処理の改善につながる可能性があります。
加工性比較
旋削加工における面粗さや切込み条件の比較については、こちらのページで紹介しています。( 加工比較:SUS304 , ASK-3000T)
※ 材料を変更した場合、加工条件や仕上がりは部品形状・工具・機械条件によって変わります。
そのため、実際の採用時には、加工テストやサンプル評価とあわせて確認することをおすすめします。
設計時に確認したいポイント
- 食品や飲料に接触する部品か
- 食品衛生法への適合確認が必要か
- SUS304同等レベルの耐食性が必要か
- SUS303では耐食性や用途面で不足しないか
- 磁性の影響を受ける部品か
- 加工時間、バリ、切粉、工具寿命に課題があるか
- 図面上で材料指定の変更が可能か
- ミルシートや適合証明書の提出が必要か

食品・飲料関連部品では、加工性だけでなく使用環境や提出資料も含めて材料を選定することが重要になります。
まとめ
食品・飲料機器部品では、耐食性、衛生対応、加工性のバランスが重要です。SUS304は耐食性に優れた代表的なステンレス鋼ですが、切削加工では加工時間、バリ、切粉、工具寿命などの課題が出ることがあります。
ASK-3000Tは、SUS304レベルの耐食性を持ちながら、SUS303寄りの被削性をもった快削ステンレス鋼です。
さらに、食品衛生法・食品、添加物等の規格基準への適合確認がされているため、食品・飲料機器部品の材料候補として検討しやすい材料です。
・SUS304の耐食性は必要だが、加工性に困っている。
・食品衛生法に対応した快削ステンレス鋼を探している。
このような場合は、ASK-3000Tを材料選定の候補としてご検討ください。


